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ビンチョウマグロはまずいは誤解!刺身が劇的に美味しくなるプロの下処理と4種のソース

スーパーの鮮魚コーナーで、いつも特売のシールが貼られている「びんちょうまぐろ(ビンナガマグロ)」。1パック300円台という驚きの安さに惹かれてカゴに入れたものの、いざ食べてみると「水っぽくて味が薄い…」「やっぱり安いからまずいのかな?」とガッカリした経験はありませんか?

魚屋の現場でも、マグロといえば王様の本マグロや、定番のキハダマグロ・メバチマグロばかりがチヤホヤされ、ビンチョウマグロは「安物の魚」として敬遠されがちな残念な現実があります。

しかし、魚屋の私からハッキリ言わせてください。ビンチョウマグロが「まずい・美味しくない」というのは完全に誤解であり、思い込みです!

まずいと感じてしまう本当の原因は、魚のせいではなく「食べ方」にあります。この記事では、ビンチョウマグロの水っぽさを消す簡単な下処理と、いつもの醤油ワサビから脱却する「4種の魔法のソース」をご紹介します。これを知れば、特売のビンチョウマグロが、今夜から高級魚レベルの極上おつまみに大化けしますよ!

なぜ「びんちょうまぐろはまずい」と誤解されるのか?

ビンチョウマグロが不当に低い評価を受けている背景には、日本の魚食文化特有の「古い思い込み」が隠されています。

マグロと同じ「ワサビ醤油」で食べるから物足りない

ビンチョウマグロを、本マグロやキハダマグロと同じように「ワサビと醤油だけ」で食べていませんか?実はこれが一番の落とし穴です。

ビンチョウマグロは、本マグロのような濃厚な脂もなければ、キハダマグロのような強い鉄分の香りや赤身の旨味も少ない、非常に「あっさりとした魚」です。そのため、醤油だけで食べるとどうしても味がぼやけて物足りなく感じてしまいます。さらに、脂がほとんどないため、ワサビをつけすぎると辛味がコーティングされず、ツンとした刺激がダイレクトに来てしまうのも残念なポイントです。

「じゃあ火を通せばいい」と思って角煮などにすると、今度は脂がないため驚くほどパサパサになってしまいます。

肉料理を見習うべき?魚業界の固執した考え方

この「脂がない=パサつく、美味しくない」というイメージは、私たち魚屋の責任でもあります。

お肉料理を思い浮かべてみてください。例えば、脂の少ない「鶏むね肉」。「パサパサしてまずいから苦手」という人は少なからずいます。しかし、だからといってただ敬遠されるのではなく、低温調理でしっとり仕上げる方法や、繊維を叩いて片栗粉や小麦粉をまぶし、水分を逃がさずにジューシーな照り焼きにするなど、多くの人が工夫を凝らし、美味しくヘルシーに食べられる調理法が数多く編み出されていますよね。お肉の世界では「調理法やソースの工夫」で食材の弱点を克服する文化がしっかりと発達しているのです。

しかし魚業界は昔から、「脂がある魚=刺身や塩焼きなど何をしても美味い=高級魚」「脂がない魚=パサつく=安魚」という単純な評価基準に固執してきました。あっさりした魚には、あっさりした魚に合うソースや、弱点を補う食べ方があるのに、その提案を怠ってきたのです。私は、そんな傾いた考えで「美味しくない」と敬遠されている魚たちの誤解を解いてあげたいと強く思っています。

【プチ情報】三重県・尾鷲でビンチョウが飛ぶように売れる理由

ちなみに、魚屋のベテランの先輩から聞いた話ですが、三重県の尾鷲(おわせ)などの漁師町では、ビンチョウマグロ(地元ではトンボマグロと呼ばれます)が飛ぶように売れるそうです。

なぜなら、地元の人は「新鮮な生のビンチョウマグロが持つ、モチモチとした極上の食感」を知っているからです。脂がクドくないからこそ、漁師さんたちはどんぶりに山盛りにして、無限にバクバクと食べられる日常の美味しい魚として心から愛しているのです。

水っぽさを消す!刺身を劇的に美味しくするプロの下処理

さて、ここからはビンチョウマグロを美味しく食べるための実践編です。

できれば「生」を選ぶ&ブロック買いでコスパ最強

ビンチョウマグロは水分が多い魚なので、冷凍を解凍したものよりも、もしスーパーに「生(一度も冷凍されていない)」の表示があれば、迷わずそちらをおすすめします。もっちり感が格段に違います。

写真のビンチョウマグロは、ブロック(塊)で売られていて1パックなんと350〜400円とかなりお値打ちでした。普通のマグロなら1パックしか買えない値段で、2パック買って「ビンチョウマグロ三昧」の贅沢ができるのも、この魚の最大の魅力ですね。

解凍モノの水っぽさは「塩ふり(脱水)」でねっとり食感に!

解凍品のビンチョウマグロ

もし運良く「生」のビンチョウマグロが手に入った場合は、そのまま切り分けて食べてみてください。特別な下処理をしなくても、本来のもっちりとした食感と甘味が十分に楽しめます。

しかし、スーパーで「解凍」のビンチョウマグロしか売っていなかった場合や、特売品で水っぽさが気になるときは、買ってきてすぐに切るのではなく、ほんのひと手間を加えましょう。

まず、ブロックを切り分けて柵(サク)の状態にします。この時、サクの表面に「パラパラと軽く塩」を振り、キッチンペーパーでくるんで冷蔵庫で10〜15分ほど寝かせてください。

塩の浸透圧で余分な水分(ドリップ)と生臭さが抜け、パサついたり水っぽかった身がギュッと締まって、ねっとりとした極上の食感に変わります。これが、解凍のビンチョウマグロを最高に美味しく食べるための最強の土台作りです。

ビンチョウマグロの刺身が無限に消える!4種の極上味変ソース

我が家では、脂が少ない魚の刺身は醤油だけではなく、様々な手作りソースを用意して楽しみます。濃厚な本マグロをワサビ醤油でじっくり味わうのも極上ですが、あっさりとしたビンチョウマグロを色々なソースで次々と味変しながら楽しむのは、まるで終わりのない刺身のビュッフェのようで最高にワクワクしますよ!

今回は、家にある調味料ですぐに作れる「4つの極上ソース」をご紹介します。

① キムチマヨソース(こってり濃厚)

作り方は超簡単。お好みの白菜キムチを細かく刻んで、マヨネーズと混ぜ合わせるだけ!
ビンチョウマグロに足りない「脂分」と「パンチ」をマヨネーズとキムチが見事に補ってくれます。マヨネーズでキムチの辛みもマイルドになるので、子供から大人まで大好きなジャンクな味わいで、白ごはんが猛烈に進みます。

② ごま油と塩(まるで鶏レバ刺し風)

以前、ツバス(ブリの幼魚)を美味しく食べる記事でも紹介した最強のタレです。
新鮮な鶏のレバ刺しを食べるときに出てくる、あの「ごま油+塩」にちょんちょんとつけて食べてみてください。あっさりした身に香ばしいごま油の風味が絡みつき、お酒のおつまみとして最強のポテンシャルを発揮します。

③ レモンとオリーブオイル(サラダ感覚カルパッチョ)

洋風に楽しみたい時はこれ。以下の黄金比で混ぜ合わせるだけで、本格カルパッチョソースの完成です。

  • オリーブオイル:大さじ1
  • レモン汁:小さじ1
  • 塩:ひとつまみ
  • 粗挽き黒こしょう:少々

さっぱりとした酸味が、ビンチョウマグロの淡白な味わいを上品に引き立ててくれます。

④ 定番の普通の醤油(一周回ってやっぱり旨い)

最後はやっぱり普通の醤油です。「え、醤油はダメって言ったじゃん!」と思うかもしれませんが、キムチマヨやごま油などの濃い味のソースで楽しんでいる途中に、なぜか一旦普通の醤油に戻りたくなる瞬間が絶対に来ます(笑)。
色々な味を挟むことで舌がリセットされ、あっさりとした醤油の美味しさが再確認できる、大事なオアシス的な存在です。

端材で作る絶品ネギマグロと、子供が喜ぶアレンジアイデア

ブロックからサク取りをすると、どうしても端っこや「筋っぽい部分」が残ります。これは捨てずに、包丁で細かく叩いて小ネギと合わせれば、絶品の「ネギマグロ(なめろう風たたき)」に早変わり!(写真左上の小鉢です)

さらに、大根のツマの代わりに、千切りにした人参やキュウリを敷き詰めるのもサカシュン流のおすすめです。カルパッチョソースやキムチマヨと一緒に、シャキシャキの野菜でマグロを巻いてサラダ感覚で食べると絶品ですよ。

卓上に焼き海苔と酢飯を用意しておけば、ソースをつけながら手巻き寿司やサラダ巻きにして楽しむことができ、お子様も大喜び間違いなしの豪華なパーティーメニューになります。

まとめ:ビンチョウマグロはコスパ最強の優秀な魚!

いかがだったでしょうか?「水っぽくてまずい」と思われがちなビンチョウマグロも、魚の特性を理解してちょっとした工夫(脱水と味変ソース)をしてあげるだけで、こんなにも豪華で美味しく食べられるんです。

次にスーパーの鮮魚コーナーで激安のビンチョウマグロを見つけたら、不安がらずに堂々とカゴに入れてください。そして今夜はぜひ、この4種の魔法のソースで、最高に楽しくて美味しい刺身ビュッフェを味わってみてくださいね!

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