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ソウダガツオがまずいは嘘!血合いの臭みを消す究極の食べ方「山椒うずわ」

スーパーの鮮魚コーナーで、普通のカツオよりも少し小ぶりで、しかも激安で売られている「ソウダガツオ(ソマガツオ)」。

「安いから買ってみたけど、血合いが多すぎて生臭かった」「刺身で食べたらまずかった…」という経験はありませんか?

丸々と太ったソウダガツオ

実は私も過去に、ソウダガツオを刺身で食べて「血合いの匂いがキツくて、正直あまり美味しくないな…」と絶望した一人です(笑)。

しかし、ある「究極の食べ方(郷土料理)」と出会い、さらにそれを家族みんなで食べられるようにアレンジした結果、あの生臭かったソウダガツオが「本ガツオを凌ぐほどの極上の生食おつまみ」に化けたんです!

この記事では、鮮魚のプロである私が、ソウダガツオが「まずい」と言われる生化学的な理由と安全な選び方、そして血合いの強烈な匂いを爽やかに消し去るサカシュン流「山椒うずわ」の作り方を、写真たっぷりで徹底解説します。

この記事で分かること

ソウダガツオが「まずい・生臭い」と言われる本当の理由
生食できる「ヒラソウダ」と加熱用の「マルソウダ」の見分け方
ヒスタミン中毒を防ぐための確実な鮮度・温度管理
臭みを完璧に消す!サカシュン流「山椒うずわ」のレシピと3つの食べ方

ソウダガツオが「まずい・生臭い」と言われる本当の理由

なぜ、ソウダガツオは「まずい」と検索されることが多いのでしょうか。その最大の原因は、魚自体が美味しくないからではなく、「圧倒的な鮮度落ちの早さ」「血合いの多さ」にあります。

猛スピードで劣化する強烈な「血合い」

ソウダガツオは海の中を高速で泳ぎ回るため、強靭な筋肉と、酸素を運ぶための血液(鉄分)をたっぷり含んだ「血合い肉」を体の大部分に持っています。

この血合いに含まれる鉄分が、釣り上げられて空気に触れた瞬間から猛烈なスピードで酸化を始めます。釣った直後に完璧な血抜きと氷締め(水氷での急速冷却)を行わないと、あっという間に身全体に強烈な生臭さと金属的な酸味が広がり、「まずい」状態になってしまうのです。

プロの裏話:血合いを生食できるのはカツオの特権?

よく似ているハガツオ(キツネガツオ)

「血合いが臭くなりやすいなら、最初から切り捨てて身だけを食べればいいのでは?」と思うかもしれません。実際、多くの魚において血合いは生臭さの原因になるため、取り除かれるのが一般的です。

分類(スズキ目 サバ科)魚種血合いの生食
カツオ属本ガツオ◎(美味しい)
ソウダガツオ属ヒラソウダ、マルソウダ◎(美味しい)
ハガツオ属ハガツオ×(生臭くなりやすい)

同じサバ科の魚でも、例えば「ハガツオ(キツネガツオ)」という魚がいます。鮮魚業界のベテラン(歴30年〜40年以上)の方たちは、「ハガツオの血合いはまずいから絶対に取り除け」と口を揃えて言います。身よりも血合いの劣化が圧倒的に早く、夕方には変色してひどい臭みが出てしまうからです。

しかし、本ガツオやソウダガツオは例外です。魚の中で、この「血合い」を身と一緒に生食(刺身やタタキ)で楽しめるのは、実はカツオ属やソウダガツオ属の特権と言っても過言ではありません。

カツオ系は身そのものの赤身が非常に強く、鉄の香りやレバーのような強い旨味を持っています。そのため、鮮度さえ良ければ、血合い特有の風味が見事に調和し、他にはない極上の旨味へと昇華するのです。だからこそ、ソウダガツオの血合いは捨てずに「美味しく食べる工夫」をする価値があるんですね。

生食向きの「ヒラ」と、鮮度が命の「マル」の違いと見分け方

ソウダガツオには、大きく分けて「ヒラソウダ」「マルソウダ」の2種類がいます。見た目はそっくりですが、まずはこの2つの見分け方を押さえておきましょう。

ポイントは、胸ビレ周辺にある「硬いウロコの層(胸甲部)」がどこまで伸びているかです。背びれの位置を目安にすると簡単に見分けられますよ!

【ヒラソウダ(黄色いライン・Yの字パターン)】
・横から見ると体高があり、少し平べったい体型をしている。
・ウロコの層が、第一背びれと第二背びれの間あたりで急激に細くなる
・背中の黒い模様とウロコの間に広い隙間ができ、黄色いラインのようにYの字に途切れて見える。

ヒラソウダ

【マルソウダ(赤いライン・Vの字パターン)】
・体高が低く、断面が丸っこい円筒形の体型をしている。
・ウロコの層が急に細くならず、第二背びれを遥かに越えて後ろまで長く伸びる
・背中の黒い模様にずっとくっついたまま伸びるため、赤いラインのようにVの字に見える。

マルソウダ

よくネットなどでは「ヒラソウダは生食、マルソウダは生食不可(加熱用)」と書かれていますが、実はこれ、半分正解で半分間違いです。

そもそも、ソウダガツオ自体が鮮魚として一般流通することが少ない魚ですが、特にマルソウダは血合いの割合が異常に多く、鮮度劣化のスピードが桁違いに早いため、スーパーに「生食用」として並ぶことはまずありません。全国的には、お蕎麦の出汁で重宝される「宗田節(ソウダブシ)」などの加工品原料や、加熱用として扱われるのが一般的です。

しかし、水揚げされる漁港周辺の地元は違います。静岡県伊東市などでは、このマルソウダのことを地元で「うずわ」と呼び、鮮度抜群のものをたたきにした郷土料理「うずわめし」として生食で大いに楽しんでいるのです。

つまり、本当の「うずわ」はマルソウダで作るのが正解であり、マルソウダは決して生食できないまずい魚ではなく、「鮮度管理のハードルが高すぎて一般流通に乗らないだけの、知る人ぞ知る極上の魚」というのが鮮魚業界における真実なのです。

とはいえ、地元以外で生食できる鮮度抜群のマルソウダを手に入れるのは至難の業です。そこで今回のレシピでは、スーパーなどで鮮魚として比較的入手しやすい「ヒラソウダ」を代用して作ります。

本来のマルソウダには及ばないかもしれませんが、ご安心ください。ヒラソウダであっても、ソウダガツオ特有の強い血合いの旨味は十分に堪能できますし、今回ご紹介する「実山椒」との相性も抜群ですよ!

ヒスタミン中毒を防ぐための確実な温度管理

ヒラであってもマルであっても、ソウダガツオの生食において絶対に守らなければならないのが徹底した温度管理です。常温で放置すると、筋肉中の成分が細菌の働きによって「ヒスタミン」というアレルギー誘発物質に変化します。これを食べると、舌がピリピリと痺れたり、蕁麻疹が出たりする「ヒスタミン中毒」を引き起こします。

一度発生したヒスタミンは、加熱しても絶対に消えません。釣った場合はすぐにエラと尾を切って血抜きをし、氷水(水氷)でキンキンに冷やすこと。スーパーで買う場合は、必ず氷の効いた状態で持ち帰り、調理の直前まで冷蔵庫でしっかり冷やしておくことが最大の予防策です。

青唐辛子からヒントを得た「山椒うずわ」誕生秘話

ソウダガツオの生臭さに絶望していた私ですが、テレビで静岡県伊東市の郷土料理「うずわめし」を知り、衝撃を受けました。

前述の通り「うずわ」とは、伊東周辺でのマルソウダの地方名です(ちなみにヒラソウダは地元で「スマ」と呼ばれたりします)。血合いが多くて鮮度落ちが激しいマルソウダは、一般市場に出回らないため、地元でしか食べられない貴重な郷土料理になっています。

この「うずわ」を新鮮なうちに細かく叩き、たっぷりの青唐辛子を混ぜて食べるのが本場流。早速、手に入ったヒラソウダで代用して作ってみたところ……青唐辛子の爽やかな香りとソウダガツオの血合いの旨味が、信じられないほどの相乗効果を生み出して激ウマでした!

ただ、一つだけ問題がありました。

辛すぎて、妻も子供も食べられない!

辛いのは好きだけど、得意ではないので汗がドバドバ出て後半は口の中が痛い(笑)

そこで、「この爽やかな香りと辛味、そして血合いの強烈な旨味を、もっとマイルドな薬味で合わせられないか?」と試行錯誤し、ついにたどり着いたのが「実山椒」だったのです。

【保存版】年中楽しめる!実山椒の茹で方と冷凍ストック術

スーパーや八百屋さんで「生の実山椒」が出回る時期は、一般的に初夏(5月下旬〜6月頃)の短い期間だけです。

私は毎年この時期に多めに買い込み、まとめて下ごしらえをしてジップロックなどの保存袋で冷凍しています。こうしておけば、ソウダガツオが安い時期にいつでも「山椒うずわ」を楽しむことができますよ!

ご家族の好みに合わせて「辛さ」を自在に調整できる、サカシュン流の下ごしらえ法をご紹介します。

【実山椒の下ごしらえと辛味の調整】

  1. 小枝を取って茹でる
    実山椒を水洗いし、太い枝から実を外します(細い軸は残っていてもOK)。たっぷりのお湯に塩をひとつまみ入れ、約5〜8分ほど茹でます。指でつまんで軽く潰れるくらいの硬さが目安です。
  2. 冷水にさらす(★ここで辛さを調整!)
    ザルにあげたら、すぐにたっぷりの冷水にさらしてアク(辛味)を抜きます。
    ・刺激的な辛味が好きな方: 1〜2時間程度で水から上げる。
    ・子供も食べるマイルド派: 半日〜ひと晩ほど水にさらす。(途中で2〜3回水を替えると、よりエグみが抜けてマイルドになります)
  3. 冷凍ストックする
    ザルに上げて水気をしっかり切り、さらにキッチンペーパーで水分を徹底的に拭き取ります。ジップロックなどの保存袋に平らに広げて冷凍庫へ。使う時は凍ったまま指でパラパラとほぐせるので超便利です!

もちろん、旬の時期以外に急に作りたくなった場合は、スーパーの瓶詰めコーナーで売られている「実山椒の水煮」を使っても美味しく作れますよ。

臭みを完璧に消す!サカシュン流「山椒うずわ」のレシピ

実山椒(下茹でして冷凍しておいたもの)を使うことで、青唐辛子の鋭い辛さを抑えつつ、柑橘系の爽やかな香りで血合いの匂いを完璧にマスキング(隠蔽)してくれます。中学生の子供でも「すごい爽やかで美味しい!」とモリモリ食べてくれました。

作り方の手順とプロのポイント

3枚におろしたヒラソウダ。血合いがたっぷりです。
血合いごと包丁で叩いていきます。

1. ソウダガツオ(ヒラソウダ)を叩く
3枚におろして皮を引いたソウダガツオを、血合いも一緒に包丁で細かく叩いていきます。
💡【ポイント】ペースト状になるまで叩きすぎず、少し形(身の食感)が残る粗めの状態にするのが美味しく仕上げるコツです。

すり鉢で実山椒の香りを引き出します。

2. 実山椒を潰す
下茹で済みの実山椒(市販の水煮などでも可)を、すり鉢で少し形が残るくらいに粗く潰します。(すり鉢がない場合は、包丁で細かく刻んで叩いてもOKです)
潰した瞬間に、弾けるような爽やかな香りが広がります!

鮮やかな赤と緑のコントラスト!極上の「山椒うずわ」の完成です。

3. 合わせて完成!
叩いたソウダガツオの上に、潰した実山椒をたっぷりと乗せれば完成です。食べる直前に全体を軽く混ぜ合わせていただきます。

最高に美味しい!「山椒うずわ」3つの食べ方

本場の「うずわめし」のように、一度で三度美味しい食べ方をご紹介します。これ、本当に止まらなくなりますよ。

【山椒うずわの最強の食べ方 3選】

  1. まずはそのまま(または手巻き寿司で)
    小皿に取り、醤油を少し垂らしてそのままパクリ!日本酒や焼酎が無限に進みます。海苔で巻いて手巻き寿司にしたり、ワサビやミョウガなどの薬味をさらに足しても最高です。
  2. ほかほかご飯に乗せて「うずわ丼」
    熱々のご飯の上にたっぷりと乗せ、お好みでネギと醤油を。ソウダガツオの濃厚な旨味と山椒の香りで、ご飯が消えます。
  3. 究極の〆!「熱々お茶漬け」
    ご飯に乗せたうずわに、熱々のお湯(または出汁)を回しかけます。表面が白く霜降り状態になり、血合いの極上の出汁がお湯に溶け出して……至福の〆になります。

もし余ってしまったら、翌日にお椀に入れてお湯と味噌を溶かし、「うずわの味噌汁」にするのもおすすめです。血合いの濃厚な出汁と山椒の爽やかさが融合した、料亭のような少し上等なお味噌汁になりますよ!

まとめ:ソウダガツオは決して「まずい魚」ではない!

ソウダガツオは、鮮度落ちの早さと血合いの強さゆえに「まずい」と誤解されがちな魚です。

しかし、正しい知識で見分け、徹底した鮮度管理を行い、そして「実山椒」という最強のパートナーを合わせることで、高級魚である本ガツオにも負けない、極上のポテンシャルを発揮します。

次にスーパーや魚屋さんで新鮮な「ヒラソウダ」を見かけたら、ぜひ騙されたと思ってこの「山椒うずわ」を試してみてください。きっと、「こんなに安くて美味しい魚があったのか!」と驚くはずですよ。

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