スーパーの鮮魚コーナーで「カスベのほっぺ」という謎の食材を見つけて、「なんじゃこれ?」「どうやって食べるの?」と固まってしまったことはありませんか。
分かります。見た目だけでは魚のどの部分なのかも、どんな料理に向いているのかも、なかなか想像できませんよね。
でも、魚屋の私からすると、カスベのほっぺを安く見つけたらラッキー以外の何ものでもありません。今回も売り場で見つけた瞬間、「これは買うしかない!」と即決しました。
カスベのほっぺは、エイ1尾から左右に1個ずつ、合計2個ほどしか取れない希少部位です。それなのに、知名度が低く、食べ方もあまり知られていないため、叩き売りのような価格で並んでいることがあります。
こんなに貴重で美味しい部位が、「食べ方が分からないからやめておこう」と売り場に残されているなんて、あまりにももったいない!
そこで今回は、実際にカスベのほっぺを購入し、サカシュン流の唐揚げバッター液をまとわせて唐揚げにしました。中心の軟骨を狙った切り方、衣をはがれにくくする油への入れ方、低めの温度でジューシーに揚げるポイントまで詳しく紹介します。
完成したカスベのほっぺの唐揚げは、鶏むね肉をめちゃくちゃジューシーにしたような食感。娘たちからも「めっちゃ美味しい!」と大好評でしたよ。
カスベのほっぺの唐揚げが美味しい理由と希少部位の特徴
カスベのほっぺは1尾から2個ほどしか取れない希少部位

「カスベ」は、北海道でエイを指す呼び名として使われています。エイのヒレは煮付けや煮こごりなどで知られていますが、今回使うのはヒレではなく、頭の左右にある頬肉です。
魚の頬肉はよく動かす部分なので、適度な弾力と旨味があります。しかも、カスベのほっぺは一般に1尾から左右1個ずつしか取れません。たくさんの身が取れるヒレと比べても、かなり限られた部位なんですよ。
ところが、見た目が鶏肉のようでもあり、魚のアラのようでもあるため、初めて見た方には少しハードルが高い食材です。
「ナニコレ、食べ方が分からないからやめよう」と戻してしまう方も多いかもしれません。でも、食べ方さえ分かれば、安くて美味しい掘り出し物。見つけた方には、このお得をぜひ味わってほしいです。
味はアンコウやサバフグに似ているが驚くほどジューシー
カスベのほっぺを食べて、まず驚いたのがジューシーさです。
魚で例えるなら、アンコウのプリッとした弾力や、サバフグの淡白な白身に少し似ています。ただ、私の好みで言えば、カスベのほっぺにはアンコウやサバフグ以上のポテンシャルがあると感じました。
サバフグは火の入れ方によって少しパサつくことがありますが、今回のカスベのほっぺにはそれがありません。衣の中から出てきた身は、ふっくら、プリッ、そしてしっとり。
お肉で表現するなら、「鶏むね肉をめちゃくちゃジューシーにしたような食感」です。クセの強い味ではないので、エイを食べ慣れていない方でも挑戦しやすいと思います。
希少なのに安いのは食べ方が知られていないから?
これだけ希少で美味しい部位なのに、私が見つけたカスベのほっぺは驚くほど安く売られていました。
価格が安い理由を一つに決めることはできませんが、一般家庭での知名度が低く、調理法が分かりにくいことも、手に取られにくい理由の一つかもしれません。
美味しくないから安いのではなく、美味しさをまだ知られていないから安い。そんな少し可哀そうな食材なんですよね。
この味が広まったら、今のような価格では買えなくなるかもしれません。見つけた方は、安いうちにぜひ試してみてください(笑)。
購入時は見た目と表示を確認し、開封後ににおいもチェックする
カスベを購入するときは、身に透明感があり、ドリップが大量に出ていないもの、表面が乾燥しすぎていないものを選びます。パックに記載された消費期限や保存方法、加熱用などの表示も確認してください。
エイ類は鮮度が落ちると、鼻を刺すようなアンモニア臭が出ることがあります。ただ、一般的なスーパーではパック詰めで販売されているため、購入前ににおいを確認するのは難しいですよね。鮮魚店などでカゴ売りされている場合は確認できますが、それ以外では見た目や表示を頼りに選ぶことになります。
購入後にパックを開けたとき、軽い魚のにおいではなく、鼻を刺すような強い刺激臭がある場合や、身が変色して崩れている場合は、無理に調理しない方が安心です。
持ち帰ったあとは常温に放置せず、すぐに冷蔵庫へ入れてください。「揚げれば何でも大丈夫」というわけではありませんよ。
カスベのほっぺを100%味わうなら唐揚げがおすすめ
カスベのほっぺは煮付けにもできますが、今回私が強くおすすめしたいのは唐揚げです。
衣で身を包んで揚げることで、外側には香ばしさが生まれ、中には水分と旨味が残ります。カスベのほっぺ特有のプリッとした弾力とジューシーさを、かなり分かりやすく楽しめる料理です。
そして、カスベのほっぺを100%味わうために使うのが、魚介の唐揚げに欠かせないサカシュン流の唐揚げバッター液です。
小麦粉と片栗粉を同量で合わせ、卵や醤油、生姜などで衣そのものに味を付けます。粉を直接まぶすより全体を包みやすく、骨や軟骨が付いたカスベのほっぺにも衣をまとわせやすいんですよ。
基本の黄金比と、魚介を居酒屋のような唐揚げに仕上げるコツは、「唐揚げバッター液の黄金比!魚介の唐揚げが居酒屋の味になる絶品レシピ」で詳しく紹介しています。
カスベのほっぺの唐揚げレシピ|衣がはがれにくい揚げ方
カスベのほっぺの唐揚げの材料
材料が分かりやすいように、カスベのほっぺや付け合わせと、衣に使う唐揚げバッター液に分けて紹介します。
主材料・付け合わせ
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| カスベのほっぺ | 1パック(400~500g程度を目安) |
| 揚げ油 | 適量 |
| レモン | 好みで適量 |
| アスパラなどの野菜 | 好みで適量 |
唐揚げバッター液の材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 小麦粉 | 大さじ3 |
| 片栗粉 | 大さじ3 |
| ベーキングパウダー | 小さじ1/2 |
| 卵 | 1個 |
| 醤油 | 大さじ1/2 |
| みりん | 大さじ1/2 |
| 塩 | 小さじ1/2 |
| おろし生姜 | 1/2片分 |
| 冷水 | 大さじ1/2~1程度 |
冷水は、卵の大きさや粉の状態を見ながら少しずつ加えます。衣がサラサラ流れ落ちるのではなく、カスベの表面へ薄くまとわりつくくらいが目安です。
今回は写真に写っているアスパラも、同じバッター液で一緒に揚げました。魚だけでなく、冷蔵庫にある野菜を追加しても美味しいですよ。
1.中央の軟骨を狙って半分に切る

購入したカスベのほっぺは、そのままだと一つ一つがかなり大きいため、食べやすいように半分に切ります。
ほっぺの中央を触ると、骨の真ん中に軟骨のような少し切りやすい部分があります。私は、その部分へ包丁を当てて半分に切りました。
ただし、個体や切る位置によっては硬い軟骨が残っています。包丁で無理に押し切ろうとすると危ないので、安定したまな板の上で少しずつ切ってください。
家庭用の包丁で切るのが難しい場合は、購入時に魚屋さんへ「半分に切れますか?」とお願いするのが安全です。
また、完成後も軟骨がすべて柔らかくなるとは限りません。骨なしの唐揚げではなく、骨付き肉のように周りの身を食べる料理だと考えてください。子どもが食べる場合は、大人が軟骨の位置を確認して身をほぐしてあげると安心ですよ。
2.サカシュン流の唐揚げバッター液をまとわせる

ボウルへ小麦粉、片栗粉、ベーキングパウダー、卵、醤油、みりん、塩、おろし生姜を入れて混ぜます。
固すぎる場合は、冷水を少量ずつ加えて調整してください。一気に水を入れると衣が薄くなりすぎるので、まずは大さじ1/2程度からで大丈夫です。
半分に切ったカスベのほっぺをボウルへ入れ、身と軟骨の周りまでバッター液をしっかりまとわせます。
バッター液自体に味が付いているため、長時間漬け込む必要はありません。全体に衣が付いたら、そのまま揚げる準備へ進みましょう。
3.骨の部分を下にして140℃前後の油へ入れる

今回の一番大切なポイントが、油へ入れる向きです。
カスベのほっぺは、骨や軟骨が見えている部分を下にして油へ入れます。
骨の部分は、身の表面に比べて衣が密着しにくく、油へ入れた直後に触るとはがれやすいんですよね。
そこで、骨側を下にしてそっと油へ落とし、最初の衣が固まるまで触らずに待ちます。これだけで、衣がはがれにくくなりますよ。
私は魚介の揚げ物を作るとき、一般的な唐揚げよりも低めの140℃前後からじっくり火を入れます。
油へ一度に入れすぎると温度が大きく下がるので、鍋の大きさに合わせて数回に分けてください。衣が固まったら返し、全体へゆっくり火を通します。
表面が固まり、きつね色になるまで香ばしく仕上げます。
カスベのほっぺは厚みがあり、軟骨も付いているため、表面の色だけで火の通りを判断しないでください。最も厚い部分まで十分に加熱します。

家庭での加熱の目安として、厚生労働省は中心部を75℃で1分間以上加熱することを案内しています。心配な場合は中心温度計を使うと分かりやすいですよ。詳しくは厚生労働省「家庭での食中毒予防」も参考にしてください。
揚がったら網やバットへ取り出し、余分な油を切ります。熱いうちにすぐ重ねると衣が蒸れやすいので、少し間隔を空けて並べるのがおすすめです。
家族で実食!娘は大絶賛、妻からはお弁当にも良さそうとの声

揚げたてのカスベのほっぺへ箸を入れると、衣の中から白い身がプリッと外れました。
表面は香ばしく、中は驚くほどジューシー。淡白なのに物足りなさはなく、噛むほどに白身の旨味を感じます。
鶏の唐揚げが大好きな娘たちにも食べてもらったところ、第一声は「めっちゃ美味しい!」。魚の唐揚げとしては、かなりの高評価でした。
ただ、そのあとに言われたのが、
「でも、鶏の唐揚げの方が好き!」
……いつか絶対、魚の方が好きと言わせてやる!(笑)
それでも、普段から鶏の唐揚げを喜んで食べる子どもが「美味しい」と言ってくれたのは大きな収穫です。魚が苦手な子どもへ出す料理としても、かなり可能性を感じました。
妻からは、「パサつかないから、お弁当にも良さそうだね」との感想も。
お弁当に入れる場合は、中心までしっかり加熱し、油を切って十分に冷ましてから清潔な容器へ詰めてください。気温の高い時期は保冷剤も使い、長時間の常温放置は避けましょう。
カスベのほっぺの唐揚げまとめ|見つけたら迷わず買いたい希少部位
カスベのほっぺは、エイ1尾から左右に1個ずつしか取れない珍しい部位です。それなのに、見た目や調理法が知られていないため、売り場で安く残っていることがあります。
今回のまとめ
- カスベのほっぺは1尾から2個ほどしか取れない希少部位
- 食感はアンコウやサバフグに似ているが、よりジューシーに感じた
- 大きなほっぺは中央の切りやすい軟骨部分を狙って半分にする
- サカシュン流のバッター液で包むと、外は香ばしく中はふっくら仕上がる
- 骨側を下にして油へ入れると衣がはがれにくい
- 140℃前後からじっくり揚げ、最も厚い部分まで十分に加熱する
- 硬い軟骨が残る場合があるため、子どもには大人が身をほぐしてあげる
今回食べてみて、カスベのほっぺは「安いから買う食材」ではなく、美味しいから積極的に探したい食材だと分かりました。
プリッとした弾力がありながら、鶏むね肉をさらにジューシーにしたようなしっとり感。サカシュン流の唐揚げバッター液との相性も抜群です。
売り場で見つけたときに「なんじゃこれ?」と素通りするのは、本当にもったいないですよ。この美味しさが広まって値段が上がってしまう前に、ぜひカスベのほっぺの唐揚げを味わってみてくださいね。