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イカの内臓は食べられる?肝・墨袋の扱い方と丸焼きの下処理

スルメイカの肝を使った丸焼き。アルミホイルで蒸し焼きにした胴とゲソ

イカを丸ごと買ったとき、内臓は全部取り除いていますか?

実は、イカの内臓には食べられる部分があります。 特にスルメイカの肝(ワタ・ゴロ)は、濃厚な旨味を楽しめる部分です。イカ墨も料理に使えます。

ただし、内臓を全部そのまま食べてよいわけではありません。胃や腸などは通常取り除きます。私が家庭で丸焼きを作るときも、いったん内臓を取り出し、食べる部分を選んで胴に戻しています。

一方、小型のイカには、内臓を取り出さずに丸ごとゆでたり煮たりする食べ方もあります。実際に私も、朝どれの小さなイカを丸ゆでにして食べることがあります。

小さい頃から母が作るスルメイカのワタ焼きが大好きだった私にとって、肝を捨ててしまうのはもったいない話なんです。

今回は、実際の下処理写真と家庭での調理経験を交えながら、イカの内臓のどこが食べられるのか、どこを取り除けばよいのか、姿焼きではどう扱えばよいのかを紹介します。

この記事で分かること

  • イカの肝・墨袋・胃や腸など、食べる部分と取り除く部分
  • 写真で確認する内臓の位置と、目・クチバシ・エラ・軟甲の下処理
  • 肝を生かしたスルメイカの丸焼きとワタ焼きの食べ方
  • 小型イカの丸ゆでや市販の沖漬けとの違い、安全上の注意点

イカの内臓は食べられる?部位ごとの違い

イカの内臓で、家庭料理に使いやすいのは肝(ワタ・ゴロ)です。墨袋に入っているイカ墨も食用になります。一方、胃や腸などは、通常の下処理では取り除きます。

「ワタ」という言葉は内臓全体を指すこともありますが、料理で「イカのワタ焼き」「ゴロ焼き」という場合は、主に大きな肝を利用する料理を指します。

また、イカを食べるときには、内臓だけでなく、目、クチバシ、エラ、胴の中にある軟甲も確認しておきたい部分です。

部位家庭での扱い
肝(ワタ・ゴロ)食用にできる。ワタ焼き、ゴロ煮、塩辛などに利用する
墨袋中の墨は食用。料理に使うか取り除くかを選べる
胃・腸内容物が残るため、通常は取り除く
エラ一般的な下処理では取り除く。胴の内側に残ることがある
卵・白子食用にする例もある。部位を確認できない場合は無理に使わない
精莢(せいきょう)オスの生殖に関係する器官。口内に刺さった事例があるため取り除く
軟甲(なんこう)胴の中にある透明で細長い硬い部分。調理前に引き抜く
目一般的な家庭料理では取り除くと扱いやすい
クチバシゲソの中心にある硬く鋭い口器。通常の下処理では取り除く

すべての部位を無理に食べる必要はありません。私の場合は、料理に使いたい肝や墨を残し、それ以外の不要な部分を取り除くようにしています。

写真で確認する肝・墨袋と取り除く内臓

スルメイカの胴からゲソと内臓を引き抜くと、肝にいくつもの器官が付いた状態で出てきます。

肝の周囲にある内臓を青丸で囲んだ写真

目のすぐ上にある茶色いのが肝になりますが、肝の周囲には直腸などの内臓も付いています。肝を利用する場合は、こうした不要な部分まで一緒に残す必要はありません。

青丸の肝以外の内臓は切り落とします。イカには胃や腸、生殖に関係する器官などがありますが、写真に写った形や色だけで、それぞれを正確に見分けられるとは限りません。

私は、ワタ焼きや丸焼きに使いたい肝を残し、用途のない内臓は取り除いています。何の器官か分からないものまで、無理に食べる必要はありません。

また、胃には内容物が残っていることがあります。これまでイカを扱う中では、胃に砂のようなものが入っていたり、胴体に小魚が残っていたりする個体もありました。

こうした経験もあって、私は大きなスルメイカを料理するとき、いったん取り出して下処理する方が扱いやすく安心だと感じています。

目・クチバシ・エラ・軟甲の取り方

内臓を取り出したら、目やクチバシ、胴の内側も確認します。どれも難しい作業ではありませんが、取り方を知っておくと下処理がしやすくなります。

目の周辺を切り分ける位置を青線で示した写真

目の処理:目玉を一つずつくり抜く方法もありますが、力を入れると中の液体が飛び出すことがあります。私は写真の青線を目安に、目玉すぐ上の位置で頭の部分とゲソを切り分けています。この方が、目玉を傷つけずに取り除きやすいんです。

クチバシの処理:目の部分を切り分けたら、ゲソの中心にある青丸のクチバシを取り除きます。クチバシはカラストンビとも呼ばれる、硬く鋭い口器です。私はゲソの付け根を指で押し、中心から押し出すようにして取っています。

特にクチバシは硬く、先端も鋭いため、通常の料理では必ず取り除くようにしています。指を傷つけないように注意してください。

エラの処理:ゲソと内臓を引き抜いても、エラが胴の内側にくっついたまま残ることがあります。私が下処理するときは、胴の中に指を入れて確認し、残っていれば取り除きます。

軟甲の処理:胴の中には、透明で細長い軟甲があります。魚の骨とは違い、イカの体を支える貝殻由来の部分です。端をつまんでゆっくり引き抜きます。

このように、食べる部分と取り除く部分を分けておけば、胴やゲソを料理に使いやすくなります。肝を使いたい場合は、ほかの内臓と一緒に捨てず、別に取り分けておきます。

食べる部位の分けたスルメイカ。肝についている黒い線状のものが墨袋になります

スルメイカは、肝を使ったワタ焼きだけでなく、胴にお米を詰めるイカ飯にもできます。

「スルメイカの洋風イカ飯の作り方」では、肝を取り分けて下処理した胴に普通のお米と玉ねぎを詰め、ゲソの旨味を生かしたトマトソースで煮込んでいます。

スルメイカの肝が大好きになったのは、母のワタ焼きがきっかけ

私にとって、スルメイカの一番の楽しみは、昔からあの濃厚な肝の旨味でした。

小さい頃、母がよく作ってくれた料理の一つがスルメイカのワタ焼きです。丸ごとの姿焼きではなく、胴を輪切りにしてゲソも切り分け、肝と一緒にアルミホイルで蒸し焼きにする料理でした。

アルミホイルに斜め切りのネギを敷き、その上にスルメイカの身とゲソ、肝をのせて、塩コショウと醤油で味付けします。魚焼きグリルで15〜20分ほど蒸し焼きにして、食べるときに肝を混ぜるんです。

父は酒のつまみとして大好きでしたし、私も小さい頃から大好物でした。身やネギに肝の濃厚な旨味が絡む、我が家ではおなじみの料理です。

そんな家庭で育ったので、私はスルメイカの肝を食べるのが当たり前だと思っていました。

魚屋になって驚いた!肝を残したい人は意外と少ない

ところが、魚屋になってから、その当たり前がひっくり返りました。

仕事では、スルメイカの下処理をお客様から頼まれることがよくあります。ほとんどの場合、「内臓を取ってください」というご注文です。

私は肝の美味しさを知っているので、当然のように「肝はいりますか?」とお聞きしていました。

ところが、返ってくる答えはほぼ毎回「いらないです」。私が接したお客様に限った話ですが、肝を残してほしいと言われることは本当に少なかったんです。

子どもの頃からスルメイカの醍醐味は肝だと思っていた私には、これがなかなかの衝撃でした(笑)。あんなに美味しいところなのに、もったいないなあと感じたものです。

もちろん、下処理を頼まずに丸ごと買って、家庭で肝を楽しんでいる方もいるはずです。また、肝の独特な味が苦手な方もいるでしょう。これはあくまで、私が魚屋として下処理を頼まれたときの経験です。

ただ、もし肝の食べ方を知らないという理由で捨てているなら、一度ワタ焼きを試してほしいですね。

スーパーや魚屋で下処理をお願いする場合は、「肝は料理に使いたいので、捨てずに残してください」と伝えてみてください。「内臓を取ってください」だけでは、肝も一緒に処理されることがあります。

墨袋は必ず取る必要がある?

イカ墨は食べられるので、墨袋を必ず捨てる必要はありません。 ただし、料理に使うのは主に袋の中の墨です。隣接する直腸などの不要な内臓まで残すという意味ではありません。

以前の私は、インターネットの下処理方法を参考に、墨袋を破らないよう取り除いて捨てていました。でも、イカ墨パスタを作るほど墨が好きなので、スルメイカの丸焼きでも使ってみようと考えたんです。

実際にスルメイカの墨袋を残して焼いたときは、料理が真っ黒になることはなく、味の違いもほとんど気になりませんでした。少なくとも、私が作った丸焼きでは、墨袋を残しても美味しく食べられました。

ただし、これは今回使ったスルメイカでの結果です。墨の量や袋の破れ方によって仕上がりは変わります。見た目をきれいに仕上げたい場合や、墨が苦手な場合は取り除いて構いません。

モンゴウイカなど、墨をたっぷり持つイカでは話が変わります。私が作るモンゴウイカのイカ墨パスタは、ソースが漆黒になるほど墨を使います。墨の使い方に興味がある方は、モンゴウイカで作るイカ墨パスタも参考にしてください。

内臓を取らずにイカを丸焼きにしてもいい?

スルメイカの姿焼きを作るなら、内臓をまったく処理せずに焼くより、いったん取り出して食べる部分を胴へ戻す方法をおすすめします。

肝や墨を料理に使えるからといって、胃や腸、エラなどまで残す必要はありません。

下処理の段階で必要な部分を選んでおけば、丸ごとの姿を残しながら、肝の旨味も楽しめます。

肝を胴に戻すと丸々とした姿焼きになる

昔から食べていたワタ焼きを自分でも作るようになってから、屋台のイカ焼きのように丸ごとの姿で焼いたら、娘や妻にも喜んでもらえるかもしれないと考えたことがありました。

そこで試したのが、下処理した胴に肝を戻して焼く方法です。これが私には大成功でした。

胴体に肝を2つ入れた様子

身だけで姿焼きにすると平たくなりがちですが、肝を中に入れると、胴がふっくらと丸みのある見た目になります。切り分けたときに肝の濃厚な旨味も一緒に楽しめるのがいいところです。

味付けは塩コショウを基本にして、焼いたあとに醤油を垂らす食べ方も好きです。塩コショウとバターを合わせて蒸し焼きにすることもあります。

ゲソも半分ほど詰めてアルミホイルに包んで蒸し焼きにします
焼き上がったスルメイカのホイル焼きの完成写真

焼きあがったら、食べやすい大きさに切って完成です。

切ってお皿に盛りつけます

私が魚焼きグリルでホイル焼きにするときは、20分ほど加熱しています。ただし、これは実際に作っているときの時間で、すべてのイカに共通する加熱時間ではありません。

特に肝を胴へ戻した場合は、外側に焼き色がついても中まで火が通っているとは限りません。大きさや詰め方、グリルによって火の通りが変わるため、肝の中心まで十分に加熱できていることを優先してください。

姿焼きでも肝を捨てなくていい

丸ごとの姿を残したいからといって、内臓を全部残す必要はありません。私はいったん取り出して不要な部分を除き、肝を胴へ戻して焼いています。

輪切りにして作る昔ながらのワタ焼きも美味しい

丸焼きとは別に、母から覚えたワタ焼きも我が家ではおなじみの料理です。

アルミホイルに斜め切りのネギを敷き、輪切りにしたスルメイカの胴と切り分けたゲソ、肝をのせます。塩コショウと醤油をかけ、魚焼きグリルで15〜20分ほど蒸し焼きにする方法です。

食べるときに肝を混ぜると、身やネギに濃厚な旨味が絡みます。丸焼きほど見た目の迫力はありませんが、肝の味を楽しみたいなら、こちらも外せない食べ方ですね。

なお、この時間も家庭で作ってきた際の目安です。器具や量が違えば加熱時間は変わるため、中心の火通りを確認して仕上げてください。

小型のイカは内臓ごとゆでる食べ方もある

ここまでスルメイカの内臓を取り出す話をしてきましたが、小さなイカでは別の食べ方をすることもあります。

私の地元で「アカイカ」と呼ばれている小型のイカもその一つです。朝どれの新鮮なものが手に入ったときは、ボウルにたっぷりの水を張ってよく洗い、内臓を取り出さずに丸ごとゆでて食べることがあります。

ゆで上がったイカを皿に盛り、マヨネーズを添えるだけ。凝った料理ではありませんが、こういう食べ方も好きなんですよね。

調理前の小型のイカ
丸ごとゆでた小型イカとマヨネーズの完成写真

ただし、「アカイカ」は地域や流通によって異なる種類を指すことがあります。今回の写真も、小型のイカであることは分かりますが、写真だけでヤリイカ・ケンサキイカ・ジンドウイカなどのどれかに断定することは難しいです。

また、小さいから胃の中身が少ない、内臓まで安全に食べられる、というわけではありません。 胃の内容物や寄生虫などの有無は、見た目の大きさだけでは判断できないからです。

丸ごとゆでる食べ方はありますが、内臓の状態を確認できないこともあります。家庭で安全性を優先するなら、種類や状態を確認し、必要に応じて内臓を取り除いてから調理する方が確実です。丸ごと調理する場合も、生や半生では食べず、内部まで十分に加熱してください。

このように、イカの食べ方は種類や大きさ、料理によって違います。ただし、小型イカで丸ごと食べる料理があるからといって、大きなスルメイカも内臓を全部残してよいとは考えない方がよいと思います。

イカの肝を食べるときの安全上の注意

肝を料理に使えることと、内臓を生や半生で安全に食べられることは別です。特に注意したいのが、アニサキスと加熱不足です。

新鮮でもアニサキスには注意する

スルメイカには、アニサキスが寄生している場合があります。アニサキスは主に内臓の表面などに見られ、時間の経過とともに身へ移動することもあります。

厚生労働省は、丸ごとの魚介類を購入した場合には速やかに内臓を除去すること、内臓を生で食べないことを呼びかけています。

アニサキスは70℃以上、または60℃で1分の加熱や、マイナス20℃で24時間以上の冷凍で死滅するとされています。ただし、冷凍は食品の中心まで必要な温度と時間の条件を満たすことが前提です。

また、これはアニサキスへの対策であり、細菌や食品の傷みまで解決する条件ではありません。家庭での一般的な食中毒予防では、食品の中心温度75℃で1分以上の加熱が目安とされています。

肝を使った丸焼きも、小型イカの丸ゆでも、朝どれや新鮮という理由だけで安全になるわけではありません。水洗い、塩、醤油などでアニサキスが死滅するわけでもないため、十分な加熱を大切にしてください。

詳しくは厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」を確認してください。

肝や内臓を使うときは中心まで加熱する

胴の外側に焼き色がついても、内部の肝まで十分に加熱されたとは限りません。小型イカを丸ゆでする場合も同様です。加熱時間だけで判断せず、中心まで十分に火を通しましょう。鮮度や保存状態に不安がある内臓は使用しないでください。

精莢など、食用にしない部分もある

もう一つ気をつけたいのが、オスのイカにある精莢(せいきょう)です。これは精子を入れた器官で、口の中の粘膜に刺さった事例が報告されています。

このような器官は食用にせず、下処理で取り除いておきたい部分です。写真で特定できない器官を、無理に食べる必要はありません。

内臓を丸ごと残すことを安易にすすめられない理由は、胃や腸の内容物だけではないんです。種類や個体によって内臓の状態が違うことも踏まえて判断する必要があります。

肝は食べられても大量に食べ続けるのは避けたい

イカやタコなどの内臓には、環境中に存在するカドミウムが比較的高い濃度で含まれることがあります。これは加熱しても取り除けるものではありません。

通常の食生活でイカの肝料理を楽しむことまで否定する必要はありませんが、肝ばかりを毎日大量に食べ続けるような偏った食べ方は避けたいところです。

食品中のカドミウムについては、農林水産省「有害化学物質に関する情報」でも説明されています。

なぜ市販の沖漬けは内臓ごと食べられるの?

市販のイカの沖漬けには、内臓を残したまま輪切りにして食べる商品があります。「それなら普通のスルメイカも内臓を全部残してよいのでは?」と思いますよね。

ただ、沖漬けは商品によってイカの種類や大きさ、製造方法、下処理の有無、凍結条件が異なります。内臓ごと食べることを想定した商品がある一方、解凍後に不要な内臓を取り除くよう案内している商品もあります。

特に小型のイカを使った商品では、内臓も含めて切り分ける食べ方が紹介されることがありますが、それが大型のスルメイカにもそのまま当てはまるわけではありません。

また、漬けだれの醤油や塩ではアニサキスは死滅しません。適切な冷凍処理が行われた商品であっても、冷凍だけで細菌やその他すべてのリスクがなくなるわけではないんです。

なぜ特定の商品が内臓ごと食べられる仕様になっているのかは、原料や製造工程、メーカーの管理方法によります。見た目が似た商品でも、同じ処理がされているとは限りません。

市販品は商品の表示や販売元が案内する食べ方に従い、家庭で生のイカを購入して調理する場合は、食べる部位を自分で確認して下処理する。この二つは分けて考えるのがよいと思います。

まとめ|イカの内臓は種類と料理に合わせて扱う

イカの内臓は、全部捨てる必要はありません。スルメイカの肝はワタ焼きやゴロ煮に使えますし、イカ墨も食用になります。

一方、胃や腸などは通常取り除きます。姿焼きを作る場合も、いったん内臓を取り出して、食べる部分を選んでから胴へ戻すのが私のおすすめです。

目やクチバシ、エラ、軟甲も確認しておくと、胴やゲソを調理しやすくなります。魚屋で下処理をお願いするときは、肝を料理に使いたいことを伝えておくとよいでしょう。

また、小型のイカには内臓ごとゆでて食べる料理もあり、私自身も朝どれの小さなイカを丸ゆでにして楽しむことがあります。ただし、小さいことや新鮮であることだけで、内臓まで安全だと判断できるわけではありません。

私にとって、スルメイカの肝は小さい頃から親しんできた大好物です。平たくなりがちな姿焼きも、肝を戻せば丸みのある見た目になり、濃厚な味も一緒に楽しめます。

内臓を使う場合は、不要な部分の除去と十分な加熱が前提です。イカの種類や料理に合わせて下処理を考えながら、美味しく食べられる部分を無駄なく生かしていきたいですね。

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