スーパーで大きいうなぎを見つけて、これってまずいのではないかと買うのを迷ったことはありませんか。
大きいうなぎは皮が固いとか大味で美味しくないという噂を聞いて、せっかく安いのに諦めてしまう人も多いと思います。
確かに中国産などの大きいうなぎは骨が気になったり、なぜ安いのか不安になったりしますよね。
でも安心してください。
魚の特性を理解して部位ごとに調理すれば、大きいうなぎ特有の固い皮や骨の問題は解決できて、極上のごちそうに変わりますよ。
この記事で分かること
- 大きいうなぎがなぜ安いのかという流通の裏事情とサイズの規格
- 大きいうなぎがまずいと言われる理由とそれを覆す部位別の調理法
- 特大うなぎの頭から作る専門店のような自家製極上タレのレシピ
- 1尾のうなぎから煮うなぎとひつまぶしと蒲焼を作る究極のフルコース
スーパーで超特大うなぎを発見!安さの裏にある秘密
買い物中に見つけた目を疑うような超特大サイズのうなぎ。どうしてこんなに大きくて安いのか、鮮魚のプロである私がその理由と秘密を包み隠さずお話ししますね。
うなぎの「P(ピース)サイズ」表記と業界の裏事情
先日、いつものようにスーパーの鮮魚コーナーをパトロールしていた時のことです。ふと目に止まった生うなぎのパックを見て、思わず二度見してしまいました。
なんと「愛知県産 生うなぎ 1,780円」という信じられない価格。
国産で、しかも名産地の愛知県産であるにもかかわらず破格の1,780円。しかもサイズが尋常ではありません。家に帰ってメジャーで測ってみると、なんと長さ約56cm、重さは500g以上という圧倒的なボリュームでした。通常スーパーでよく見かけるサイズのうなぎと比べると、ゆうに倍以上はあるまさに「化け物サイズ」ですね。

この特大うなぎ、ラベルには「2P」というサイズ表記がありました。実は、この「2P」という規格こそが、こんなにも巨大なうなぎが格安で売られている最大の理由なんです。
うなぎ業界では、サイズの単位として「P(ピース)」を使います。これは「1kgあたり何尾のうなぎが入っているか」を表す規格のことで、プロの間では当たり前のように使われている言葉ですよ。

| サイズ表記 | 1尾あたりの重さ(目安) | 主な用途・お店の好むサイズ |
|---|---|---|
| 1P | 約1000g | 規格外の超巨大サイズ |
| 2P | 約500g | 今回購入した特大サイズ |
| 3P | 約330g | 大きめでボリュームのあるサイズ |
| 4P | 約250g | 【うな重向け】お重に綺麗に収まる最高級サイズ |
| 5P | 約200g | 【うな丼向け】どんぶりに乗せやすい定番サイズ |
表を見ていただくと分かる通り、うなぎ屋さんなどの専門店で最も好まれ、市場でも高値で取引されるのは「4P」や「5P」といったサイズです。これらは、お重やどんぶりに盛り付けた時にぴったりと綺麗に収まる、非常に扱いやすいサイズなんです。
一方、今回私が購入した「2P」のような大きすぎるうなぎは、お重からはみ出してしまうため、見栄えを気にする専門店では敬遠されがちです。さらに、身が厚すぎて焼きの調整が難しく、プロの職人でも手間がかかるため、どうしても仕入れ値がガクッと下がる傾向にあります。これが、スーパーで特大うなぎが格安で売られている「なぜ安い」の答えかなと思います。
「大きいうなぎ=まずい」と言われる本当の理由
「大きいなら、脂もたっぷりで美味しいんじゃないの?」と思われるかもしれません。しかし、大きいうなぎには明確な欠点(デメリット)があり、実際に購入してよく観察したり、身を触ってみるとよくわかります。
特大サイズに育つ過程で、うなぎの体には以下のような変化が起こります。
これを普通サイズのうなぎ(4Pや5P)と全く同じように、1匹丸ごと「直火の蒲焼」にしてしまうとどうなるでしょうか。
小骨が喉に刺さりそうになったり、皮はブヨブヨして嚙み切れなかったり、強烈な脂で途中で胃もたれしてしまったり……という非常に残念な結果になります。「なんだ、やっぱり大きいうなぎって大味でまずいじゃん」とがっかりされてしまうのも無理はありませんよね。
魚屋の固定概念を覆す「部位別」という発想
ここで少し、「魚屋あるある(裏話)」をお話しさせてください。
私たち魚屋は、毎日大量の魚を捌いたり刺身にするプロですが、必ずしも「料理のプロ」ではないことが多いんです。「この魚は脂がないからまずい」「塩焼きや煮付けにしても小骨が気になるからまずい」「劣化が早くてすぐに臭くなるから扱わない」といった昔ながらの固定概念がいまだに強く根付いています。
つまり、「魚の特性を見極めて、部位によって調理法を変える」という柔軟な発想が抜け落ちてしまっていることが多々あるんです。
そのため、魚単体で「まずい」と決めつけてしまい、市場ではツバスやシイラ、地域によってはビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)などが「美味しくないから扱わない」と頑なに拒絶され、格安で叩き売りされているのが現実です。
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しかし、これは消費者にとっては最大のチャンスでもあります。
魚の筋肉や骨の構造、脂の乗り方といった特性を理解し、少し調理法を変えるだけで、格安で売られている魚が「絶品料理」に化けるんですから!
今回の大きいうなぎも、まさにその不遇な魚の一つ。部位別に切り分けて、それぞれに最適な火入れを行うことで、「大きいうなぎはまずい」という概念は完全に覆ります。しかもこれ1尾で家族4人分のうなぎ料理のメインになるのですから、かなりお得で賢い買い物だと言えますよね。
プロの技!特大うなぎの下準備と極上自家製タレの作り方
ここからは、買ってきた特大うなぎを最高に美味しく食べるための、下準備からこだわりのタレ作りまで、プロの手順を分かりやすく解説していきます。
生臭さを消すぬめり取りと3等分カットの手順
まずは購入したうなぎの頭を落とし、生臭さの原因となる皮目の「ぬめり」をしっかりと落とします。

うなぎの体表のぬめりには独特の臭みがあり、これを残したまま調理すると仕上がりが一気に泥臭くなってしまいます。ナイロンブラシやタワシ等を使って、流水に当てながら丁寧にゴシゴシとこすり落としてください。熱湯をサッとかけて白く浮き上がらせてから冷水で洗う「霜降り」というテクニックを使うと、さらに綺麗に落とせますよ。
綺麗にぬめりが取れたら、身を「①頭側」「②中間」「③尻尾側」の3等分に切り分けます。この思い切った部位分けが、後で劇的な味の違いと感動を生み出す最大のポイントになります。
頭と肝で作る!旨味が凝縮した自家製極上タレ
生の丸ごとうなぎを買う最大のメリットとして、頭(半助)や肝が付いてくることです。これを使って、老舗のうなぎ屋さんのような、旨味が奥深く凝縮された極上のタレを作ります。

老舗のタレがなぜあんなに美味しいかというと、何十年も継ぎ足していく中で、焼いたうなぎの頭や骨から出る脂と旨味エキスがタレに溶け込んでいるからなんです。それを家庭で簡単に再現してしまいましょう。
■極上自家製タレの材料(作りやすい分量)
- うなぎの頭(あれば肝や中骨なども):1尾分
- 醤油:大さじ4
- みりん:大さじ4
- 酒:大さじ2
- 砂糖:大さじ3(甘さを少し控えたいなら大さじ2)
■作り方(プロの手順)
1. 頭を香ばしく焼く(超重要)
生臭さを完全に消し、香ばしさを出すために、うなぎの頭を魚焼きグリルでしっかり焦げ目がつくまで焼きます。アルミホイルを敷いておくと脂が落ちずに扱いやすいです。ここでこんがり焼くことが、タレの味の決め手です!
2. 調味料を煮立てる
小鍋に醤油、みりん、酒、砂糖を入れて中火にかけます。みりんと酒のアルコール分をしっかり飛ばすように煮立ててください。
3. 頭を入れて煮詰める
沸騰したら、こんがり焼いたうなぎの頭を小鍋に入れます。弱火にして、アクが出たら丁寧ですくいながら、トロッと照り(とろみ)が出るまで10〜15分ほどじっくり煮詰めます。

4. 濾して完成
とろみがついたら頭を取り出します。これで、うなぎの旨味エキスがたっぷりと凝縮された極上の自家製タレの完成です!
※一緒に焼いた肝は、あまりにも美味しそうだったのでつまみ食いで消えました(笑)。お酒のアテに最高ですよ。
いざ調理!特大うなぎを美味しく食べる部位別フルコース
自家製タレができたら、いよいよメインの調理です。3等分にした部位ごとに、一番美味しい食べ方で火を入れていきましょう。
頭側の部位は骨までホロホロになる至高の煮うなぎ
3等分にしたうちの「頭側」の身は、一番脂が強く、皮も厚く、そして何より腹骨などの小骨が太くて多いという、一番厄介な部位です。
ここは無理に焼いて蒲焼にするのではなく、思い切って「煮る」のが大正解です。


鍋にうなぎが被るくらいの水を入れます。煮汁は水だけでもいいですが、うなぎの身に少し下味をつけたいので「醤油・酒・みりんを各大さじ3ずつ」入れて煮ます。
臭み消しとして、あれば「実山椒」を10粒ほど(なければ生姜の薄切りでOK)入れます。実山椒の爽やかな香りと痺れが、特大うなぎの強烈な脂をさっぱりと中和してくれますよ。
圧力鍋があれば15分ほど圧力をかけて煮込みます。圧力鍋がない場合は、普通の鍋で落とし蓋をしてゆっくり時間をかけて1時間ほど煮込んでも、同じように骨までホロホロになります。

じっくり煮ることで、ゴムのように分厚かった皮はトロトロのコラーゲンに変わり、きつすぎた脂は煮汁に適度に落ちて上品な味わいに。そして気になっていた太い骨も、口の中でホロホロに崩れるようになります。
これだけでは薄味なので、お皿に盛り付けた後、先ほど作った自家製の甘辛いタレを上からタラーッと回しかければ……その圧倒的なふんわり食感と上品な味に、誰もが感動する極上の「煮うなぎ」になりますよ!
中間と尻尾側の部位はお家グリルで香ばしく焼く
続いて、真ん中の身と尻尾の方の身です。こちらは定番の焼きで攻めます。本来であれば炭火でじっくり焼くのがベストなのですが、家庭では準備や煙のハードルが高いため、今回は手軽な魚焼きグリルを使用します。
グリルの網にうなぎの身がくっついてボロボロになるのを防ぐため、必ずクッキングシート(または網やアルミホイルに薄く油を塗ったもの)を敷いて両面をしっかり焼いていきます。

まずはタレをつけずに「白焼き」の状態で、両面に少し焦げ目がつくくらいまでじっくり焼いて、余分な脂と水分を落とします。
焼けたら、いよいよ自家製タレの出番です。ハケやスプーンを使って、「身に3回、皮に2回」を目安に、タレを塗っては焼き、塗っては焼きを繰り返しながら、しっかり焦げ目が付くくらい照り良く焼いていきます。


うなぎの美味しさを引き立てる最大のアクセントは、タレが焦げたあの「香ばしさ」です。もしグリルで焦げ目が付き切らない場合は、耐熱皿に移して最後にガスバーナーで表面をサッと炙って仕上げてもいいですね。一気に本格的な香りになります。
中間はひつまぶしで尻尾は蒲焼にして楽しむ
香ばしく焼き上がった2つの部位ですが、ここで盛り付けと食べ方を変えるのがサカシュン流です。
【中間の身】
そのまま「うな丼(重)」として豪快に食べても美味しいですが、特大サイズのため、この部位はまだ若干の小骨が気になることがあります。なので、包丁で1cm幅くらいに細かく切って「骨切り」の役割を持たせつつ、名古屋(愛知)名物の「ひつまぶし」として楽しむのが最適です。
【尻尾側の身】
尻尾の方の身は、うなぎが泳ぐ時によく動かす部位なので、小骨も少なく筋肉質で旨味が強いのが特徴です。タレがしっかり絡んでパリッと焼けたこの身は、もう極上の「蒲焼」です! 「尻尾の方だからパサパサしてるのでは?」と侮るなかれ。超特大のうなぎなので尻尾の方でもお店で食べるような肉厚で皮はパリッとして、噛むとジュワッと脂が乗ったうなぎそのものを堪能できますよ。
いざ実食!1尾で3度美味しい究極のうなぎの楽しみ方と注意点
すべての調理が完了しました。あとは家族みんなで食卓を囲んで、この特大うなぎのフルコースを味わい尽くすだけです。
家族みんなで味わう贅沢なうなぎフルコース丼
炊きたての熱々のご飯を大きめの丼や器に盛り、たっぷりと自家製タレをかけます。その上に、今回作った「煮うなぎ」「ひつまぶし(中間)」「蒲焼(尻尾)」の3種を豪快に乗せましょう!

それぞれがお茶碗にとって、ひつまぶしのように様々な食べ方で楽しみます。
- まずは直でそのまま: 煮うなぎのホロホロとした優しさ、蒲焼の香ばしさとパンチのある脂など、それぞれの身の違いをダイレクトに楽しみます。
- 薬味と一緒に: ワサビや粉山椒、刻みネギなどの薬味をたっぷりと乗せ、爽やかな風味をプラスして味変します。
- 最後はお茶漬けで: 熱々のだし汁(またはお茶)をかけて、うなぎの旨味が溶け出した極上の汁ごと、サラサラとお茶漬けとしてかきこみます。

いかがでしたでしょうか。
このように部位別に丁寧に調理して楽しめば、「大きいうなぎは皮が固くて大味でまずい」といった間違った固定概念は、一口食べた瞬間に完全に消え去ります。
スーパーで「2P」サイズの激安特大うなぎを見かけたら、それは敬遠するべきハズレではなく、工夫次第で化ける超お得な贅沢ご飯のチャンスです! ぜひ皆さんも、このサカシュン流の調理法で、最高に美味しいうなぎフルコースを体験してみてくださいね。
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