冬から春にかけて脂が乗って美味しくなる「真鯛(マダイ)」。
スーパーでサクを買ってきてお刺身で食べるのも最高ですが、ちょっと肌寒い日には「真鯛のしゃぶしゃぶ」にしてみませんか?

一般的なレシピでは「皮を引いた(皮なし)お刺身」を使うことが多いですが、魚屋である私が強くおすすめするのは「皮付き」でのしゃぶしゃぶです。
実は、真鯛の旨味と脂は「皮と身の間」に一番詰まっています。この究極の食べ方と、魚の骨(アラ)から取る極上スープの作り方をご紹介します。
スーパーでの賢い買い方と頼み方

真鯛のしゃぶしゃぶを最大限に楽しむなら、切り身ではなく「丸ごと(1尾)」、あるいは「半身」で買うのがおすすめです。
ご自身で捌ける方はもちろん丸ごとでOKですが、スーパーの鮮魚コーナーで調理をお願いする場合は、こう伝えてみてください。
「3枚おろしにしてください。
半身は『皮付き』のまま、もう半身は『皮引き(刺身用)』にしてください。アラも持ち帰ります」

こうすることで、「皮付きの旨味」と「皮なしのあっさり感」の両方を食べ比べることができる、超贅沢なしゃぶしゃぶセットが完成します。
もちろん、持ち帰ったアラ(骨や頭)は、絶品スープの出汁(だし)として大活躍しますよ。
真鯛のしゃぶしゃぶの材料と極上出汁の作り方
用意する野菜(細切りがおすすめ!)
魚のしゃぶしゃぶは、お肉と違ってアクが出にくいため、野菜をたっぷり美味しく食べられます。
ネギ、三つ葉、ニンジン、水菜など、お好みの野菜を「細切り(千切り)」にして山盛りに用意してください。
1. 昆布出汁の準備(ずぼらでOK)

鍋に水と昆布を入れ、2時間〜半日ほど浸しておきます。
料理本などには「えぐみが出るから、沸騰する前の60〜70度で昆布を取り出す」と書かれていますが、家庭の鍋ではそんなに気にしなくて大丈夫です!
我が家の娘たちもそうですが、出汁を取った後の柔らかい昆布を食べるのが好きな子供は多いですよね。入れたまま、一緒にしゃぶしゃぶしてしまいましょう。
2. 【重要】アラを焼いて「究極の鯛出汁」を取る
昆布よりも圧倒的に重要なのが、持ち帰った「鯛のアラ」の処理です。

- アラ全体に塩を振り、15分ほど置きます。
- 鯛が汗をかいて余分な水分(臭み)が出てくるので、サッと水で洗って水気を拭き取ります。
- 魚焼きグリル(またはトースター)で、こんがりと焼き目がつくまで強火で焼きます。この後お湯で煮出すので、中まで火が通っていなくても気にしなくてOKです。

焼いたアラを先ほどの昆布出汁の鍋に入れ、強火にかけます。沸騰したら中火にして10分ほど煮出します。
部屋中に料亭のような香ばしい鯛の香りが漂ってきたら、網じゃくし(あく取り網やかす揚げなど)を使って、アラをすべてすくい取ってください。これで黄金の極上スープの完成です!
実食!「皮付き」をしゃぶしゃぶする魔法

極上の鯛出汁に細切り野菜をたっぷり入れ、いよいよ真鯛をしゃぶしゃぶします。
ここで「皮付き」の真鯛の出番です。
真鯛のお刺身で「松皮造り(皮目に熱湯をかけて湯引きしたもの)」という食べ方がありますが、このしゃぶしゃぶという行為そのものが、鍋の中で湯引きを行っているのと同じ状態になります。
お湯にくぐらせると、皮がキュッと縮み、皮と身の間の脂がジュワッと溶け出します。
そのまま、鍋の中でしんなりした細切り野菜をたっぷりと巻いて口に運んでみてください。
「皮のサクッとした食感」と「溢れる脂の甘み」、そして「シャキシャキの野菜」が一体となって、言葉を失うほどの美味しさです!
皮なし(あっさり)と皮付き(濃厚)を交互に食べ比べると、最後まで全く飽きが来ません。
サカシュン特製「まろやか極上ポン酢」
つけダレは市販のポン酢やゴマダレで十分美味しいですが、ポン酢の酸味が強すぎると感じる方(特にお子様)には、以下の黄金比アレンジがおすすめです。
- ポン酢 2 : 煮切りみりん 1
(※煮切りみりん=みりんを小鍋やレンジで沸騰させ、アルコールを飛ばして冷ましたもの)
これだけで、ツンとした酸味が消えて料亭のまろやかなポン酢に化けます。
大人はここに「もみじおろし」と「すりごま」をたっぷり足せば、もうお箸が止まりません。
最後の一滴まで!禁断の〆(シメ)「鯛茶漬け」
野菜と鯛の旨味が溶け出し、極限まで濃縮された鍋のスープ。
うどんやおじや(雑炊)にするのも間違いありませんが、もし「しゃぶしゃぶ用の鯛の身」が余っていたら、迷わずこれを作ってください。
- 余った鯛の身を「醤油 1 : みりん 1」のタレに5分ほど漬け込みます。
- アツアツの白ご飯の上に、漬けにした鯛を乗せ、白ごま、きざみ海苔、わさびをトッピングします。
- その上から、鍋の熱いスープをなみなみと注ぎます。
半生の漬け鯛と、極上スープが織りなす「究極の鯛茶漬け」です。これを食べるためにしゃぶしゃぶをしたくなるほど、最高のご馳走ですよ。
まとめ

「皮付きのまましゃぶしゃぶする」という、魚屋ならではのちょっとした工夫。
そして、捨ててしまいがちなアラをしっかり焼いてから出汁をとるというひと手間で、いつものお家鍋が高級料亭の味に変わります。
細切り野菜を巻いて食べれば、お魚が苦手な子供でも驚くほど野菜と一緒にバクバク食べてくれますよ。
週末のスーパーで立派な真鯛を見かけたら、ぜひ「半身は皮付きで!」と頼んでみてくださいね。