前回の「シズの自家製干物」の記事で、「中骨は硬かったが、唐揚げなら食べられるかもしれない」という仮説を立てました。
そこで今回、早速その仮説を実践・検証してみました!
結論から申し上げますと……「低温でじっくり揚げる」という一手間だけで、シズは中骨や頭まで「パリポリ」と食べられる、最高の唐揚げになることが判明しました!
この記事では、私が実際に試し、家族にも大好評だった「シズ(イボダイ)の唐揚げ」の具体的なレシピと、骨まで美味しく揚げるための「サカシュン流・調理のコツ」を徹底解説します。
この記事で分かること
- シズ(イボダイ)の骨や頭までパリパリに揚げる調理の秘訣
- 絶品「甘辛ダレ(世界の山ちゃん風)」の黄金比レシピ
- 素材の味を楽しむ「塩レモン」との2種の食べ比べ
なぜ「シズ」の唐揚げは骨まで旨いのか?

小アジや小ムツなどの唐揚げも骨まで食べられることは多いですが、やはり「ガリガリ」とした硬い食感が口に残ることがあります。
その点、シズ(イボダイ)は骨や頭が比較的柔らかいため、低温でじっくり火を通すことで、硬い「ガリガリ」ではなく、心地よい「パリポリ」としたスナックのような食感に仕上がります。これは唯一無二の美味しさかもしれません。
下処理で2枚におろすことで火の通りも均一になり、まさに骨まで余すところなく楽しめる、唐揚げに最適な魚の一つだと言えます。
今回は、この特徴を活かし、「素材の味を楽しむ塩レモン用(中骨なし)」と「骨ごと味わう甘辛ダレ用(中骨あり)」の2種類を同時に作っていきます。
材料(シズ4尾分)
【シズの唐揚げ】
- シズ(イボダイ): 4尾
- 片栗粉: 適量
- 揚げ油: 適量
- (お好みで)塩、レモン、粗挽きコショウ
【絶品!甘辛ダレ】
(醤油:みりん:酒:砂糖 = 2:2:2:1 の黄金比)
- 醤油: 大さじ4
- みりん: 大さじ4
- 酒: 大さじ4
- 砂糖: 大さじ2
- 煎りごま: たっぷり(大さじ2以上~お好みで)
【写真で解説】シズの唐揚げ 2種の味付けレシピ
1. 下処理(2枚おろし)

まず、シズを「2枚おろし」にします。今回は頭も一緒に揚げてパリパリ食感を楽しみたいので、頭は落とさず、半分に割って使います。
シズのヌメリとウロコをしっかり落としたら、頭を縦半分に割ります。(包丁の扱いに注意してください)


次に、中骨に沿って包丁を入れ、片身(中骨なし)を切り離します。もう片方は「中骨あり」のまま使います。これで「中骨なし(塩レモン用)」と「中骨あり(甘辛ダレ用)」の2種類ができます。 エラや内臓をきれいに取り除き、血合いを洗い流したら、キッチンペーパーで水気を徹底的に拭き取ります。
2. 甘辛ダレを作る
魚を揚げる前に、絡めるタレを準備しておきます。
小鍋に「みりん」と「酒」を入れ、中火にかけて煮切ります(アルコールを飛ばします)。 アルコールを飛ばす際は、鍋を傾けてコンロの火を移し、フランベ(火をつける)することが多いですが、若干怖いのでレンジ(600Wで1分~)や、普通に鍋で沸騰させて熱する方法で全く問題ありません。
アルコールが飛んだら火を弱め、「醤油」「砂糖」を加えて砂糖が溶けるまで混ぜます。 火を止め、仕上げに「煎りごま」をたっぷり加えて混ぜれば「甘辛ダレ」の完成です。


3. 揚げる(最重要ポイント)
ここが最大のポイントです。下味は一切つけません。
下処理したシズ(中骨あり・なし両方)に、片栗粉をまんべんなく薄くまぶします。

フライパンや鍋に油を入れ、160℃の低温に熱します。シズを入れ、時々返しながら**約10分間**、じっくりと揚げていきます。2度揚げは不要です。


4. 仕上げ(2種の味付け)
10分ほど揚げて、シズの表面がカリッと仕上がったら、油をよく切ってバットに取り出します。

【食べ方①:中骨なし】塩&レモン
中骨がない方の半身は、シンプルに塩とレモン(お好みで粗挽きコショウ)でいただきます。 衣はサクサク、身は驚くほどふっくらジューシー!シズの上品な甘みと、香ばしく揚がった頭の風味をダイレクトに味わえます。

【食べ方②:中骨あり】絶品!甘辛ダレ(サカシュン流)
ここからが本番です! 揚げたての熱い「中骨あり」の半身を、作っておいた「甘辛ダレ」のボウルに入れ、煎りごまと一緒に全体にタレを絡めます。

タレが絡んだら、器に盛り付けて完成です。 名古屋名物「世界の山ちゃん」の手羽先を彷彿とさせる、甘辛い味わいです。 頭もヒレも、そして中骨までパリポリと食べられてしまいます! これはお酒が進みますし、子供にも大人気の味付けでした。

【おまけ】このタレは反則級!残ったタレで作る「名古屋風・絶品手羽先」

正直に告白します。この甘辛ダレは、魚介だけに使うのはもったいない「万能ダレ」です。 名古屋名物の手羽先唐揚げ「世界の山ちゃん」や「風来坊」を思い浮かべてみてください。あの、甘辛いタレにスパイシーな胡椒が効いた、無限にビールが進む味…。このタレは、まさにあれを家庭で再現できてしまいます!
我が家でも多めに作り、次の日に手羽先の唐揚げに絡めて食卓に出しました。
【サカシュン(筆者)の悲しい本音】
…悲しいかな、うちの子供たちは、メインのシズの唐揚げよりも、この手羽先唐揚げの方を夢中になって食べていました(笑)
魚介特化サイトとしては非常に複雑な心境ですが…それほどまでにこのタレが強力だという証拠です!
サカシュン流「名古屋風手羽先」の作り方
作り方はシズの時とほぼ同じです。ポイントは「下味なし」「低温でじっくり」です。
- 揚げる
手羽先は下味をつけず、シズの時とは違い、今度は「小麦粉」を薄くまぶします。(※片栗粉よりもしっとりとタレが絡みやすくなります)
140℃〜160℃の低温の油で、じっくりと揚げて中まで火を通します。小麦粉を使っているので、こちらはシズと違って、こんがりと美味しそうなキツネ色に揚がります。 - 絡める
揚げたての手羽先を、多めに作っておいた「甘辛ダレ」にジュワッと絡めます。 - 仕上げる
ここが本番です。タレを絡めた手羽先をお皿に盛り、仕上げにコショウを「これでもか!」というくらい多めに振ってください。
※子供用は程々に(笑)
これで、本場・名古屋の「世界の山ちゃん」風のスパイシーな手羽先が完成です。 シズの唐揚げから手羽先まで、この万能ダレで2度、3度と楽しんでみてください!
まとめ:シズの唐揚げは「骨ごと甘辛ダレ」が最高だった
「干物では硬かった中骨も、唐揚げならイケるはず!」という仮説から始まった今回の調理チャレンジでしたが、結果は大成功でした。
「低温でじっくり10分揚げ」、そして「甘辛ダレに絡める」。
この方法なら、シズ(イボダイ)の難点だった小骨や中骨まで、余すところなく「ごちそう」に変えることができます。 鮮度の良いシズを見かけたら、ぜひこの「骨ごとパリポリ唐揚げ」を試してみてください!