「カラスミを家で作ってみたいけど、外に干すとカビや天気が心配…」 そんな悩みで二の足を踏んでいませんか?高級珍味の代名詞カラスミですが、実はスーパーでボラの卵さえ手に入れば、全工程を「冷蔵庫の中」だけで作ることができるんです。
今回ご紹介するのは、魚のプロである私が試行錯誤してたどり着いた「サカシュン流・冷蔵庫完結メソッド」。 外干し一切なし。天候も湿度も気にせず、毎日少しのお世話をするだけで、黄金色の宝石が完成します。
この記事では、血抜きから塩漬け、そして1日目から18日目までの乾燥過程の変化まで、写真付きで細かく記録しました。これを読めば、カラスミ作りでもう迷うことはありません。家庭で作るカラスミの教科書としてご活用ください。
サカシュン流・自家製カラスミの作成スケジュール

カラスミ作りは「待つこと」が仕事です。冷蔵庫で作る場合、トータルで約1ヶ月かかりますが、作業自体はシンプルです。
【制作工程の全体像】
- 工程1:血抜き(1日)…ボウルで血を抜く
- 工程2:塩漬け(約10日)…水分を徹底的に抜く
- 工程3:塩抜き・酒漬け(約3〜4日)…味を入れ、塩分を調整
- 工程4:冷蔵庫乾燥(約2〜3週間)…ここが一番楽しい育成期間!
準備する材料と道具
- ボラの卵(真子): 2腹(4本)
- 粗塩: たっぷりと(卵が完全に埋まる量)
- 水: 目安は2腹1600cc(血抜きと塩抜き用)
- 漬け込み用の酒: 焼酎800cc + 日本酒800cc(1:1の割合)
- 道具: まち針、タッパー、乾燥用の網とバット、霧吹き用のスプレーボトル(100均等のアルコール対応ボトル)
【工程1】血抜き(鮮度の確保)
まずは血管の中にある血を抜いていきます。ここをしっかりやることで生臭みのないクリアな味になります。
1. 血管に穴を開けて血を押し出す

まち針で血管に細かく穴を開け、スプーンの背や親指の腹でグーッと押して血を押し出します。「卵が飛び出るんじゃ?」と心配になりますが、気にせずブスブスといきましょう。

2. 薄い塩水に漬ける

ボウルに氷水(できれば3%程度の塩水)を作り、卵を1日漬け込みます。
真水だと卵が水を吸いすぎてしまうため、薄い塩水にするのがサカシュン流のコツです。
3. 水気を拭き取る

翌日、水で洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。
※多少血管に血が残っていても大丈夫です。有名なイタリアンシェフは「血抜きをしない」という方もいるくらいなので、家庭で作る分には神経質になりすぎなくてOKです。
【工程2】塩漬け(強力脱水)
ここから水分を抜いて保存食にしていきます。

タッパーに塩を敷き、卵を置き、上からも塩を被せて「完全に埋めます」。
蓋をして冷蔵庫へ入れます。
【工程3】塩抜きと本漬け(味の調整)
カチカチになった卵を、今度は美味しい味に整えていきます。
1. 水で塩を抜く(半日)

表面の塩を洗い流し、水に漬けます。水量の目安は「カラスミ1腹につき水800cc」。今回は2腹なので1600ccです。
期間は半日(12時間)。途中で6時間経過したら1回水を交換してください。
完了目安は、全体は柔らかいが、芯の方に少し硬さが残っている状態です。
2. 酒に漬ける(2日半〜3日)
水気を拭き、タッパーに「焼酎:日本酒 = 1(800cc):1(800cc)」の液を作り、卵を漬け込みます。酒量の目安も「カラスミ1腹につき酒800cc」。今回は2腹なので1600ccです。浮いてくるので落としラップをしましょう。
【工程4】乾燥・熟成(サカシュン流・冷蔵庫干し)

いよいよ仕上げの乾燥です。ここからは全て冷蔵庫の中で行います。
セットと毎日のケア

バットに網を置いて、その上に卵を置きます。
ここからの約2〜3週間、以下の作業を日課にしてください。
- 焼酎を塗る(1日1回): 霧吹きで表面に焼酎をシュッと吹きかけます。カビ防止とツヤ出しの効果があります。(画像にあるスプレーボトルは100均で買ったアルコールOKのものです)
- 裏返す(1日1回以上): 最初の3日間は1日2〜3回、その後は1日1回ひっくり返します。冷蔵庫は乾燥が早いので、こまめに返すことで形が整います。
【観察日記】1日目〜18日目の変化
実際に冷蔵庫干しをした18日間の変化をご覧ください。これを見れば「今うちの子は順調かな?」と確認できますよ。
乾燥初期(1日目〜)

まだ水分が多く、白っぽくて柔らかい状態です。バットに水分が落ちるので、こまめに拭き取りましょう。
乾燥中期(1週間経過〜)

水分が抜け、一回り小さくなってきました。色は黄色からオレンジへ変化していきます。
乾燥後期(2週間経過〜)

表面がかっちりとして、指で押すと少し弾力がある状態。美しい飴色になってきました。網の跡がつきますが、乾燥が進むと気にならなくなります。
完成!(18日目)

中まで均一に透き通った飴色になったら完成です!
仕上げに、卵がつながっている「へそ」の部分から出た油(なければオリーブオイル)を薄く塗ると、さらにツヤが出ます。

【工程5】保存方法(サカシュン流・冷凍保存)
完成したカラスミは、へそを切り落とし、1本ずつラップに包んでジップロックに入れ、「冷凍保存」します。

【なぜ冷凍?】
カラスミは塩分と脂質が高いため、家庭用の冷凍庫に入れてもカチカチに凍りません。食べたい時に冷凍庫から出して、解凍を待たずにすぐに包丁でサクッと切ることができます。長期保存も効くので、少しずつ楽しめます。
冷蔵庫干しの味とおすすめの食べ方
完成したカラスミを実食してみると、市販のものとは明らかな違いに気づきます。
市販品にはない「新食感」
通常の天日干しと違い、冷蔵庫でじっくり脱水しているため、中はしっとりとしていて、ねっとり濃厚な食感に仕上がります。この独特の「生感」に近い食感は、自家製・冷蔵庫干しならではの醍醐味です。
塩分も控えめに仕上がるため、塩抜き加減もちょうど良い塩梅(あんばい)です。大根で塩味を中和する必要がないほどマイルドなので、そのままでもお酒のつまみとして最高の贅沢です!
サカシュンのおすすめの食べ方
- 薄皮の処理: 本来カラスミを食べるときは薄皮を剥きますが、バーナーやトースターで軽く炙ってスライスして食べるのもおススメです!パリッとした食感のアクセントに変わります。香ばしさも加わり一石二鳥です。
- クリームチーズと一緒に: これが私の一押しです。バケットにクリームチーズを塗り、スライスしたカラスミを乗せて食べてみてください。ワインや日本酒が止まらなくなります。
まとめ:家庭で作るカラスミは「買う」より「作る」が正解

今回は、冷蔵庫だけで完結する自家製カラスミの作り方をご紹介しました。
実際に私もこのカラスミを大晦日に実家へ持って行き、チーズと合わせて親戚みんなで食べましたが、「今までの塩辛いイメージが覆った!」「これは売れる!」と大好評でした。
サカシュン流・冷蔵庫カラスミのポイント
- 血抜きは神経質にならなくてOK(多少残っても味に影響なし)
- 毎日の「酒スプレー」と「反転」だけはサボらない
- 18日間じっくり待てば、失敗知らずで黄金色に
スーパーでボラの卵を見かけたら、それは「数千円の高級珍味」が激安で手に入るチャンスです。
手間と言ってもほとんどが「待つ時間」。冷蔵庫の中で日々育っていくカラスミを眺めるのも楽しいものです。
ぜひ今年の冬は、自分だけの極上カラスミ作りに挑戦してみてください!
「カラスミ以外にも、魚の干物や保存食や珍味作りに興味がある方は、こちらの記事もおすすめです。」

